*HARD-LUXXの歴史 その2*
HARD-LUXX?


裏千住同盟が誕生して早や一年、
毎晩のように繰り返されるハイエナたちの宴は
数々のエピソードを生みながらも、その内徐々に収束して行った。
それもそのはず、ついこの間まで純情なチェリー・ボーイだった彼らだが、
当初の目的がことごとく達成された後では、当時の面影は微塵もなく、
”ダサイ”と云われたのは遠い過去の物語のように、いっぱしの遊び人気取りで街を我がモノ顔で徘徊し、
”バイオレンス”などという飛び道具を使わなくとも女が寄って来るようになったのである。
なれば、自然と彼女などという存在も出来てくるのである。
時にそれは単数であったり、複数であったりするわけだが、
全ての構成員が幸福な青春時代を満喫していたのは間違いない。
彼女と過ごす甘い時間の虜になった彼らは、徐々に単独行動の時間が増え、
裏千住同盟はその名前だけを残してこのまま消え行くのかと思われた時、
神はちょっとした茶目っ気からか性質の悪い悪戯をした。
驚いたことに構成員全員が彼女を失ったのである。
その中にはなんと総裁である私も不本意ながら含まれてしまった。
一番彼女が欲しい時期に、この”神の悪戯”は正直応えた。
それまでが派手だっただけに、その辛さは一層強く感じられた。
しかも、その”冬の時代”は二年の長きに渡って我々を苦しめたのである。
因果応報という摂理を身を以って知ったときでもあった。
全員が一人身になって既に一年が経過し、
毎晩恒例の”闇茶会”(深夜の茶会)にも飽きてきた頃であった。
そんな中、構成員の一人が口を開いた。
「なんだか、俺達って”薄幸者”だよな?」
他の構成員は、皆一様に頷いた。
そして、また他の一人がそれに継いだ。
「どっかにお払いでもしに行こうかな?」
すると、また別の者が
「お払いって、それは不幸な時にいくんだろ?」
「じゃ、薄幸の場合はどうするんだ?」
それからは、全員から思い思いの意見が噴出した。
「俺達は幸せに縁がないのか?」
「いや、きっと罰が当たったんだ」
「Hするといけないのか?」
「ヤり過ぎちゃったか?」
「いや、ヤり方に問題があったんだよ!」
「穴は間違ってないぞ!」
「えっ!ケツはダメだった?」
「嘘だろ?オマエ・・・」
「わかった!ゴム着けなかったからだ!」
「えっ!オマエ中出ししてたのかよ!」
「問題ある?」
などと、とりとめのない会話が続いた為
総裁である私が口を開いた。
「オマエら、そういう問題じゃないだろ?」
皆の視線が私に集まった。
そこで
「大切なのは、過去にヤッた女の数じゃない! これからどの女を姦るかだろ?」
すると、皆はただ口を開けて呆然と私を見つめた。
どうやら、私は発言する言葉を謝ったらしかった。(^_^;
暫くして、一人が重要なことに気付いた。
「なぁなぁ、”不幸”って英語では”BAD LUCK”だろ? じゃ、”薄幸”ってなんて云うんだ?」
構成員達は、一瞬考えた。
そこで一人が
「UN HAPPYだろ?」
しかし、私が
「いや、イメージ的に”HEARD LUCK”だろ? 幸せなことが滅多にないんだからさ。」
と云った。
「そんな英語あるか?」
などという意見は私の一睨みで容易に却下されたが、
場には寒い雰囲気が漂った。
すると一人が盛り上げようとして、
「じゃぁ、俺達”HEARD-LUCKS”だな? 薄幸者の集まりだからな。」
と云った。
すると構成員たちは皆
「そうだな、これからはそう名乗ろうぜ!裏千住同盟より格好イイじゃん」
と歓喜の声を上げた。
感動のハード・ラックス誕生の瞬間である。
しかし聡明な読者諸君なら、もう気付いただろうか?
この時、誕生したのは”HEARD-LUCKS”で”HARD-LUXX”ではないのだ。
”HARD-LUXX”の誕生までには、さらに一年という歳月が必要だった。

我々が”HEARD-LUCKS”を名乗るようになってから、
既に半年以上が経っていた。
依然、幸せとは無縁な日々を送っていた。
しかし、もう以前のように女を”生ダッチ(ダッチワイフ)”や”生南2(南極2号)”と呼ぶような行為にも飽き、
常世の無常を感じつつ、本気で出家を考え始めていた。
そんなある夜、相変わらず女っ気のない奴らと暇つぶしに
過去の栄光とも呼べるアドレス帳を開いて、片っ端から電話をしていた。
電話の内容はもちろん
「よう、元気か? なぁ、暇だったらさ、これから俺とヤんない?」
である。
当然、大抵の女は電話を叩っ切った。
しかし、一人だけ
「元気じゃないよ。ヤんないけどね。」
と云った女がいた。
それから、二時間近くその女の悲話に”消音”でゲームをしながら相槌を打った。
もちろん、望みがありそうだったからだ。
そして、それから逢うことになった。
久しぶりの女である、私の”BOY”は伝説のバンド”暴威”と化し、
行きがけの車の中では喜びのあまり”ONLY YOU”のリズムに身を震わせた。
つい、”そのまま、そのまま、イカないでぇー”などと合いの手を入れてしまう程の浮かれようだった。
その夜、私は当然しっぽりとシケこみ、構成員たちより一足先に溜まった”悪魔パワー”の処理に成功した。
その日から私とその女の交配、いや交際が始まった。
すると、どうだろうか、時を同じくして構成員たちも女をモノにしはじめた。
やはり、正月の初詣の後にソープで厄落としをしたのが良かったのだ!
みるみる内に、構成員全員に女ができた。
そんな中、久しぶりの幸福に舌鼓を打つ構成員たちが”闇茶会”が催した。
その席上、ある構成員がこう云った。
「俺さ、女に『HEARD-LUCKSって何?』って聞かれちゃってさ、参ったよ。」
すると、別の者が
「そりゃ、説明に困るよな、最初からなんて危険すぎて絶対話せないし、途中からじゃ女にモテないみたいで格好悪いし・・・」
この時私は<最初からでも途中からでもお前等は話せねーだろーが!>と思ったが、
それは大人な気持でグッと飲み込んだ。
そして、代わりに
「スペル変えりゃいいだろ?」
と発言した。
皆は尊敬の眼差しで私を見つめた。
どうやら今回の発言は成功だ。(^。^)
そして”HEARD”はすんなりと”HARD"に決まった。
だが、”LUCKS"の方は当初”LUX”だった。
しかし、直ぐに
「”LUX"じゃなんだか石鹸みたいだ。」
さらに
「字数が合わない」
なんだか子供の名前を考える親のようだった。
最終的に”LUCKS”は”LUXX”に落ち着いた。
こうして”HARD-LUXX"は、ついに日の目を見たのである。
そして、私も”総裁”などと、どっかのバカな日の丸首相のような名前は捨て、
”初代総帥”と名乗ることにした。
そして、その後も数々の伝説を残し、また幾つもの変遷を乗り越えながら、現在に至る。
それらの詳細は、今後X-FilesにUPしていくので楽しみにして欲しい。
21世紀を迎え、我々の過去の若気の至りも時効となった・・・
つもりで今後も活動に励みたい。


←BACK TO THE X-Files

←BACK TO THE TOP